PDRN について届くご相談は、たいてい同じところから始まります。韓国のクリニックでこの成分を何度も見かけた、これを軸にしたセラムをつくりたい、と。その着想と出荷できる製品とのあいだにあるのは、原料の調達ではなく、ほとんどが規制と処方の仕事です。このページでは、化粧品としての PDRN が実際に何なのか、どの剤形に向くのか、ODM・OEM・プライベートブランドのどれを選ぶかで何が変わるのかを整理します。
PDRN とは何か
PDRN はポリデオキシリボヌクレオチドの略で、おおむね 50〜1,500 塩基対の DNA 断片です。原料の多くは、シロザケやニジマスといったサケ科の魚の白子から抽出・精製されます。意図的に断片化し、タンパク質やペプチドの残渣が残らないところまで精製すること。化粧品グレードの原料が粗い魚抽出物と違うのは、この一点です。
呼び名は、ブランド側が想定しているより重要です。PDRN は INCI 名ではありません。 全成分表示に載るのは多くの場合 Sodium DNA、ときに DNA で、原料メーカーの商品名が併記されることもあります。「PDRN」はマーケティングと医薬品の言葉です。韓国ではクリニックで使う注射剤としてよく知られていますが、注射用の PDRN は医薬品であり、医薬品として規制されます。原料の出どころが同じというだけで、外用の化粧品とは別のものです。
化粧品グレードの原料は、粉体か、あらかじめ溶解した水溶液で供給されます。通常は分子量の範囲と純度の規格が示されています。同じ配合率で「PDRN」を出してくる二社が、断片長の分布、灰分、エンドトキシン量ではっきり違うことがあります。処方のルートを決めた後ではなく決める前に、全項目の規格と試験成績書をお願いしているのはそのためです。
ブランドが PDRN 製品をつくる理由
需要はクリニックから下りてきました。韓国の美容クリニックが注射のポリヌクレオチド施術を広め、消費者がその言葉で検索し、すでにあった検索需要を追いかけるかたちで外用のカテゴリーが育ちました。新しいブランドにとっては珍しく有利な出発点です。カテゴリーをゼロから説明しなくても、消費者の側に認知があります。
届くブリーフには、三つのパターンが繰り返し現れます。
- 施術後ケアとバリアサポートのポジショニング。 鎮静やバリアの美容成分と組み合わせ、クリニックでの施術と併せて使うものとして置く形です。施術の代わりとしては置きません。言葉が化粧品の範囲にとどまっているかぎり、説明のつく設計です。
- プレミアムなアンプルのセット。 一回使い切りのガラスアンプルはクリニックを思わせる見え方をつくり、処方の原価を上げずに価格帯を上げられます。
- 成分を軸にしたラインの拡張。 既存のブランドが PDRN の主力品を一つ足して、それ以外は堅実な構成のラインに技術的な裏づけを見せる形です。
三つとも、商売としての危うさは同じところにあります。PDRN はもう十分に広まっていて、成分そのものは差になりません。差になるのは、配合量をどこまで開示するか、支える成分構成、使用感、容器の形です。
開発できる剤形
PDRN は水溶性で熱に弱く、たいていの水系にはなじみ、いくつかの系では扱いにくくなります。実際につくる頻度の順に並べます。
- アンプル・セラム。 この成分の本来の居場所です。粘度が低く、水相が多く、冷却後または低温で投入します。生産規模でこの剤形が何を要求するかは、韓国のセラム・アンプル製造にまとめています。
- 乳化物・クリーム。 可能です。ただし美容成分の投入は冷却工程に入り、乳化剤の系が電解質の負荷に耐える必要があります。韓国でのクリーム・保湿製品の開発で扱っています。
- シートマスク・ハイドロゲルマスク。 水分が多い剤形はこの成分に向いており、エッセンスはリーブオン製品より高い配合量で組めます。韓国のシートマスク製造をご覧ください。
- トナーパッド・化粧水。 素直に組めますが、水分が多く表面積の大きい剤形なので、防腐設計には注意が要ります。
- 無水の剤形。 ふつうは選ぶべきではありません。PDRN のバームやオイルというブリーフが来た場合、美容成分か剤形のどちらかを変えることをお勧めしています。
PDRN 製品の開発|ODM・OEM・プライベートブランドのどれを選ぶか
ここで決まるのは、日程と、費用の下限と、製品のどこまでが御社のものになるかです。正しい答えは、御社が持ち込むのが処方なのか、コンセプトなのか、ブランドだけなのかで変わります。
プライベートブランド
既存の PDRN のベース処方から選び、御社のブランドを載せます。いちばん早く、開発費もいちばん小さいルートです。処方は御社の独占にはなりません。
ODM
御社のブリーフ(目標とするテクスチャー、美容成分の組み合わせ、訴求の方向)に沿って処方を開発し、生産まで行います。時間はかかりますが、できあがるのは御社のポジショニングのための製品です。
OEM
御社が処方または確定した仕様を持ち込み、その仕様どおりに生産します。すでに処方をお持ちのブランド、生産を韓国へ移すブランドに向きます。
最初の PDRN 製品なら、多くのブランドが見るべきはプライベートブランドか ODM です。分かれ目は正直なところ一つで、既存のベース処方では表せないポジショニングを持っているかどうかです。差になるのが容器とブランドと売る市場であるなら、PDRN アンプルのプライベートブランドのほうが早く、投じる資金も小さく済みます。差になるのが処方そのものであるなら、つまり特定の成分構成、特定のテクスチャー、裏づけを取るつもりの訴求であるなら、韓国での PDRN の ODM 開発が、後から守れるものをつくれるルートです。
最初の PDRN 製品で OEM を選ぶブランドはいちばん少数です。処方を自社で持っている新規ブランドがほとんどいないからです。OEM が正解になるのは後の段階、すでに確立した製品を韓国での生産に移すときや、費用を払って開発した処方を増産するときです。
処方で考えること
配合量。 化粧品用の PDRN は、供給される原料としては数パーセント以下で使うのがふつうで、これは実際の DNA 含量に直すとさらに小さい数字になります。掲げられた配合率がこの二つのどちらを指しているのか、供給者に必ず確認してください。私たちに対してもそうしてください。同じ数字をうたう二製品が比較可能ではなかった、というのはよくある発見です。
温度。 熱が続くと分解します。加熱工程ではなく、冷却の途中か冷却後にバルクへ投入します。この制約は、セラムよりも乳化物の製造手順を強く縛ります。
pH。 扱いやすいのは弱酸性から中性の範囲です。強い酸性の系では、使用期限のあいだに脱プリンや断片の短鎖化が進むおそれがあります。この変化は製造直後には見えず、加速安定性試験ではじめて表に出ます。
組み合わせ。 PDRN は保湿剤、パンテノール、アラントイン、ツボクサ由来の成分、セラミド、たいていのペプチドとよく合います。遊離酸が高濃度で入る系とは相性が落ち、カチオン性ポリマーと組むと複合体ができて濁ることがあります。強い角質ケアの酸と同じ処方で直接組み合わせることは可能ですが、それに見合う安定性の作業量にはならないのがふつうです。
粘度と使用感。 原料そのものが特徴的な滑りを与え、配合量が上がると軽い糸引きが出ます。これを「濃厚」と受け取る人と「べたつく」と受け取る人がいます。どちらに寄せたいかはポジショニングの判断であり、パネル評価の後ではなく最初の試作品の前に決めるべきものです。
防腐。 水分が多く栄養になるものを含む系には、堅牢な防腐系と保存効力試験が要ります。省ける工程ではありません。ブリーフの詰めが甘いときに、いちばん時間を落とすのがここです。
韓国の処方ラボは、目標配合量、使用感の方向、訴求の意図、仕向地市場を書き込んだブリーフから動きます。処方のルートは、この四つが揃ってはじめて決まります。
容器で考えること
PDRN の処方は水系で、わずかに栄養に富み、酸素と熱にさらされ続けることに弱い性質があります。容器の選択はブランディングだけの問題ではなく、防腐の判断です。
- 一回使い切りのガラスアンプル。 保護はいちばん強く、プレミアムの記号としても効きます。単価はいちばん高く、充填はいちばん遅くなります。このカテゴリーのクリニック寄りのポジショニングとはよく合います。
- エアレスポンプ。 セラムでは実務上の既定値です。ヘッドスペースの酸素を抑え、指が触れることをなくします。
- スポイト付きの瓶。 このカテゴリーでは消費者が期待する形ですが、スポイトは使うたびに空気と接触を持ち込みます。それを前提に設計した防腐系が必要です。
- チューブ。 クリームには向きます。低粘度のセラムには向きません。
- マスクの個包装。 バリア性のあるラミネートが要ります。単層の薄いフィルムでは、水分の多いエッセンスを使用期限のあいだ保てません。
包装資材の選択は、市場によっては規制上の重みも持ちます。特殊な資材ではリードタイムが処方の日程を超えることもあります。私たちが韓国化粧品の容器ソーシングを処方開発の後ではなく並行して進めるのはそのためです。資材を遅い段階で変えると、たいてい安定性試験のやり直しになります。
市場ごとの訴求と規制の要点
PDRN は、化粧品の言葉と医薬品の言葉が居心地悪く近づく場所です。訴求は市場ごとに書き分ける必要があります。以下は方向づけであって、適法性についての意見ではありません。
アメリカ。 区分は意図した用途で決まります。身体の構造や機能に影響を与えることを意図した製品は、ラベルに何と書いてあろうと連邦食品医薬品化粧品法のもとで医薬品です。化粧品か、医薬品か、その両方かについての FDA の指針が一次の参照先になります。再生、治癒、組織の修復、施術後の回復を早めるといった訴求が、外用の PDRN 製品を線の向こうへ押し出します。これとは別に、MoCRA が施設登録、製品リスティング、責任者、安全性の裏づけの要件を導入しており、輸入される製品にも適用されます。
欧州連合。 化粧品としての地位は規則(EC)No 1223/2009 が定めます。成分表示は INCI で行い、原料は CosIng の附属書に照らして確認し、すべての製品に製品情報ファイル、資格のある評価者による安全性評価、EU 域内の責任者、上市前の CPNP への届出が必要です。訴求は共通基準を満たさなければなりません。実務上は、根拠の裏づけがあること、医薬品的な効果を思わせないことです。
韓国。 化粧品は化粧品法の適用を受け、所管は食品医薬品安全処です。韓国の機能性化粧品という区分は、定められた機能と成分の一覧を対象とします。シワ改善、美白、紫外線防御などで、PDRN はその指定成分には入っていません。一覧にある機能性の成分を定められた量で含んでいれば、PDRN 配合の製品も機能性化粧品として届出できます。ただしその場合、機能性の訴求はその成分に帰属するのであって、PDRN に帰属するのではありません。
原料の出どころについて。 魚由来の原料は、市場によって、また消費者によって問いを呼びます。ハラル認証、コーシャ認証、ヴィーガンのポジショニングはいずれも影響を受けます。御社の市場でそれが関わるなら、処方を確定した後ではなくブリーフの段階で挙げてください。
最小ロットと開発の日程
最小ロットの数字を公開していません。一つの数字を出せば、届くブリーフのほとんどにとって誤った数字になるからです。御社の下限を実際に決めているのは、次の組み合わせです。
- 剤形。 同じ内容量でも、充填済みのアンプルセットとチューブ入りのクリームでは下限が違います。
- 容器。 既製の資材は、専用の金型や専用の加飾よりはるかに小さい数量で発注できます。資材の下限が充填の下限を上回るのがふつうです。
- ルート。 既存のベース処方によるプライベートブランドは、ODM 開発より低いところから始まります。ODM には初回の数量にかかわらず開発費が付きます。
- 処方。 特殊な原料には原料メーカー自身の下限があり、それが案件全体の床になることがあります。
- 市場。 市場ごとの表示、届出、認証は市場ごとの費用を足し、小さな初回ロットの採算を変えます。
これらがどう組み合わさるか、最初のお見積りが予算を超えて戻ってきたときに何を変えられるかは、最小ロットを実際に決めているものにまとめています。日程の見立てとしては、プライベートブランドの案件は ODM 開発より速く進みます。どちらの場合も、安定性試験と保存効力試験は暦の上で固定の時間を占め、費用を上乗せしても縮みません。
よくあるご質問
化粧品の PDRN は、クリニックの注射剤と同じものですか。
いいえ。原料には関係がありますが、注射のポリヌクレオチド製品は医薬品であり、医薬品として規制され、その投与経路のために臨床データが取られています。Sodium DNA を配合した外用化粧品は化粧品であって、注射剤のデータも言い回しも借りられません。この二つを同じものとして扱うことが、このカテゴリーでいちばん多い規制上の失敗です。
全成分表示には何と書かれますか。
多くの場合は Sodium DNA、ときに DNA で、原料と市場によって変わります。PDRN 自体は INCI 名ではないので、居場所は成分表示ではなく販促の文面のほうです。ただしそこでも市場ごとの訴求の規則がかかります。仕向地市場での正確な表示は、デザイン入稿データを確定する前に確認します。
PDRN のセラムに「修復」「再生」と書けますか。
たいていの市場では書けません。修復や再生の訴求は身体の構造や機能への作用を述べるもので、アメリカでも EU でも化粧品の言葉ではなく医薬品の言葉です。このカテゴリーには成立する化粧品としての語彙があり、それを早い段階で合意することが ODM のブリーフの一部です。容器を印刷に回してから訴求を書き直すのは高くつきます。
最初の PDRN 製品は、プライベートブランドと ODM のどちらから始めるべきですか。
差になるのがブランド、容器、市場であるなら、プライベートブランドのほうが早く棚に届き、抱えるものも小さくて済みます。差になるのが処方であるなら、つまり特定の成分構成、特定のテクスチャー、裏づけを取るつもりの訴求であるなら、ポジショニングを御社のものにできるルートは ODM だけです。既存の処方を韓国での生産に持ち込む場合が OEM にあたります。
PDRN をエクソソームやペプチド、ツボクサと一つの処方に入れられますか。
ペプチドやツボクサとなら日常的に組み合わせます。よくある、扱いやすい組み合わせです。見出しになるバイオ由来の美容成分を複数まとめることも可能ですが、原価も、安定性の作業量も、それぞれが何に効いているかを裏づける難しさも上がります。競合する二つの主役より、一つの主役と支える成分構成をお勧めしています。
輸入と届出のための書類は出してもらえますか。
輸入と届出のためにブランドが必要とする製造側の書類を提供します。仕様書、試験成績書、アレルゲンと組成に関する証明、試験報告書です。届出そのものは、御社の市場の輸入者または責任者が行います。私たちが何を出し、どこで引き渡しになるかは、韓国からの化粧品輸出をご覧ください。
- Is It a Cosmetic, a Drug, or Both? (Or Is It Soap?) — U.S. Food and Drug Administration, 閲覧日 2026-08-06
- Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022 (MoCRA) — U.S. Food and Drug Administration, 閲覧日 2026-08-06
- CosIng — Cosmetic Ingredient Database — European Commission, 閲覧日 2026-08-06
- Cosmetic Regulatory Framework in Korea — Ministry of Food and Drug Safety, Republic of Korea, 閲覧日 2026-08-06
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